2020年大学入試改革に思うこと2

2021年9月16日

ブックスドリーム 代表の井上と申します。

いつも弊社サイトをご覧頂きありがとうございます。

前回「2020年大学入試改革」に関して私が思うことを書かせて頂きました。

https://www.booksdream.co.jp/blog/daihyo-zakkan-201800903

今回は2回目(最終回)として、「大学入試改革」以前に学校教育が取り組んだ方が良いのでは?と思うことを書かせて頂きます。


「従来の「知識・技能」中心の教育にとどまることなく、知識・技能を土台にした「思考力・判断力・表現力」、さらにはそれらに基づいた「主体性・多様性・協働性」を持った人間形成をおこない」

これが大学入試改革の目的ですが、自分自身の講師経験に基づけば、「知識・技能」に関して習得が不十分な生徒の方が圧倒的多数であるという現実があります。

同時に「アクティブ・ラーニング」といった「答えのない問いへの回答」を行う授業も導入されるということです。

アクティブラーニングとは


「主体性・多様性・協働性」、「思考力・判断力・表現力」を鍛えるために「アクティブ・ラーニング」を導入することは良いことだと思います。

しかし、これもその基礎となる正しい「知識・技能」が習得されていてはじめて有効となるという前提が見落とされているように思います。

何事もそうですが、基礎となる正しい「知識・技能」が習得されていない人が、より難しい「答えのない問い」に回答してようとしても的外れな議論となってしまいます。日々答えのない問いと格闘している大学教授が正しい「知識・技能」を習得していないということはありえません。

そして、正しい「知識・技能」が共有されていない中で「答えのない問い」への議論が行われてしまうと、それをガイドし取りまとめる教師は大変なことになります。

※同様の内容が以下に記述されていました。

引用:「学力の3要素」は3層で成り立っていて、それぞれは並列関係にあるのではない。すなわち、下層部分が土台になってこそ中層部分があるのだし、その中層部分が確立されていないと上層部分に到達することはない。

よって、下層部分(知識・技能)のスキル獲得に悩み苦しんでいる子どもたちが、中層部分(思考力・判断力・表現力)や上層部分(主体性・多様性・協働性)のスキルを磨くのはなかなか難しい。

2020大学入試改革は「骨抜き」にされた 従来のセンター試験にかなり"類似" (2ページ目)

「2020大学入試改革」内容、ざっくり言うと…… そして、この種の人たちがいま注視しているのは、政府の教育再生実行会議、文部科学省の中央教育審議会などが議論を積み重ねている2020年度からの大学入試改革であろう。従来の大学入試センター試験が廃止され、「大学入学共通テスト(仮称)」が新たに実施される。また、個別大学における入学者選抜にもメスを入れようとしている。 …

その通りだと思います。


「アクティブ・ラーニング」を導入する前提として、もっと「学力別授業」を推進した方がよいのでは?と思います。

私自身の経験では、標準的学力テストで偏差値50未満の生徒は基礎的な「知識・技能」が十分ではありません。60程度で十分になり、ここからが「思考力・判断力・表現力」の世界になります。70程度の場合は「思考力・判断力・表現力」は高いレベルです。

これが一般論として通用するかどうかは分かりませんが、少なくとも基礎的な「知識・技能」が十分でない生徒には「アクティブ・ラーニング」よりも「知識・技能」の授業をより多く配置すべきです。

「基礎的な「知識・技能」がある程度身についている生徒から順次「アクティブ・ラーニング」も行っていくという方が現実的であり、上滑りにならず、生徒にとっても良いように思います。


また、「アクティブ・ラーニング」を行うのであれば、同時に現場の教師のスキルアップも必要です。

塾・予備校であっても、あまり経験のない先生は、生徒を次々に指名してその回答を適切にさばいていく、常に生徒に問いかけ思考し表現させるという「対話型」授業を行うことは困難です。ある程度生徒の知識レベルが揃っていても生徒がどう答えるかを全て想定できる訳ではないので、どう答えられても最終的には議論を正しい方向に持って行ける深い知識と経験、話術が必要になります。

塾・予備校ではここまでのレベルに達さないと生徒の支持を得ることは困難ですから自然と磨かれていきますが、従来の学校教育ではあまり行われてこなかった授業形態のように思います。

その点で「アクティブ・ラーニング」を導入するのであれば、現場の教師も「対話型」授業に対する慣れと教務力の向上が必要になるように思います。


実際の現場の運用でどのようになるのかというのはまだ分かりませんが、「思考力・判断力・表現力」「主体性・多様性・協働性」といった上層部分を重視するあまり、それを支える正しい「知識・技能」の習得が疎かになると、文部科学省が自ら否定し転換した「ゆとり教育」と同じ結果となります。また、現場の教師の力量が「アクティブ・ラーニング」について行けない場合は意味のない時間になってしまう可能性もあります。

教育改革の目的に関しては素晴らしいものだと思いますので、これらの問題がクリアされ、教育改革が現実に沿った、教育をより良くしていくものとなることを願っています。

 

株式会社ブックスドリーム

代表取締役 井上聖也

投稿者プロフィール

ブックスドリーム 編集部
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