2020年大学入試改革に思うこと1


ブックスドリーム 代表の井上と申します。

いつも弊社サイトをご覧頂きありがとうございます。

 

突然ですが…

 

本日は「2020年大学入試改革」に関して私が思うことを書かせて頂きます。

 

実は年末年始からあたためていた内容でいつ公開しようと思いながら時間が過ぎてしまっていました(^_^;

公開が遅れた理由として、一つは私が講師としての現場から離れてそれなりの年数が経ってしまいましたので今の感覚から離れたことを書いてしまうのでは??という不安がありました。しかし、教育というものは古くて新しいともいうように時代による変遷はあれど根幹は変わらないという思いもあります。また、現在でも参考書や問題集、赤本といった受験に直結する書籍を専門に扱っている立場から時にはこういった内容もよいかと思い公開することにしました。

現在も講師として教授されている皆様からすれば至らない内容もあるかもしれません。そういった際は是非メール等でご意見頂ければ幸いです。「教育改革」に関してはこれまでもこれからも様々な意見・立場があるでしょうし勉強させていただきたいと考えております。


弊社は大学受験の参考書や赤本、予備校テキストをはじめ、専門書や医学書など受験や勉強・学習・研究に関する書籍を買取しており、私自身が過去に塾・予備校講師をしていました。

その経験もあり、この大学入試改革が弊社業務に少なからず影響する可能性があるということだけでなく、個人的興味があり、

・大学入試がどのように変わるのか

・改革の目的は

という二点から年末年始に調べていました。


まず一点目の「大学入試がどのように変わるのか」に関しては、全てが決定しているわけではないようですが、概ね以下のようになるようです。

・センター試験に代わるテスト「大学入学共通テスト」が導入される

・現行の学習指導要領で学んだ生徒が受検する2020~2023年度は移行措置があり、完全運用は2024年度以降

・国語と数学で「記述式問題」の導入

・英語は民間の資格・検定試験を活用して4技能(読む・聞く・話す・書く)を評価する(共通テストという膨大な受験生が一斉に受験する形式では「聞く・話す」の能力を測定することが実質不可能なため)

・英語で活用できる民間の資格・検定試験は、現在確定していない

・英語は、認定された試験の中から高校3年生以降の4月~12月の間の2回までの試験結果を活用する

・個別大学試験における「多面的・総合的評価」の導入として、一般選抜でも調査書・志望理由書・小論文・面接などが各大学の必要性に応じて課されるようになる

※以下の二サイトを参考にさせていただきました。

http://www.keinet.ne.jp/dnj/20/20kaisetsu_02.html

 

No Title

No Description


センター試験を実施している「大学入試センター」から新テストの試行テストが発表されていましたので目を通してみました。

平成29・30年度試行調査(プレテスト)|大学入試センター

大学入試センターの法人情報です。理事長挨拶、センター概要、情報公開、調達情報、民間競争入札、採用案内、大学入学共通テスト(仮称)などに関する情報を掲載しています。

専門は「国語」で教えていましたので国語の問題に目を通して感じたことは以下の通りです。

・第一問に資料が与えられてそれを基に議論が進行し、そこから導かれることを記述させる問題が出題されるようになった

・第二問~は従来通りの選択式で、論説文、小説、古文、漢文がそれぞれ一題ずつ出題され変化がないように思える

第一問の記述式問題に関して感じたことは、「都立高校の個別試験問題」に似ているということでした。

過去に教えていたときに全国の公立入試問題も使用していました。この形式の資料を読ませてそれを基に生徒同士の議論が進み、資料と議論の流れから導かれることを記述式で穴埋めさせる問題は公立高校で記述式を導入している県や高校がよく行う手法で、実はあまり難しくないことが多く、普段文章を読解しての記述問題が苦手な生徒でもこのタイプの問題は記述できたりします。学校でよく行っている形式であり、使用されている語彙も平易だからかもしれません。

また、共通テストも公立高校入試もかなりの数の受験生が受験し、解答や結果が公表される試験のため、記述形式であっても資料中や文章中に明確な根拠があり、論理構成や含めるべきポイントが明確でない問題は出題できません。そのため記述式であってもそこまで難易度の高い問題の出題はないのではないかと感じました。

数学に関しては専門外なので普通の受験生目線になります。

「先生・太郎さん・花子さん」の会話をもとに進行し、そこを穴埋めで選ばせる形式が非常に多く有り、従来型とはかなり変わった印象を受け、「ビジュアル英文解釈」を思い出しました(^_^;

Amazon CAPTCHA

申し訳ありませんが、お客様がロボットでないことを確認させていただく必要があります。最良のかたちでアクセスしていただくために、お使いのブラウザがクッキーを受け入れていることをご確認ください。

また、「数学Ⅱ・B」では「ある薬 D を服用したとき,有効成分の血液中の濃度(血中濃度)は一定の割合で減少し…」から始まる出題があり、その教科の知識のみにとどまらず、数学を化学や薬学に運用する(高校レベルなので運用するまでは行かないとは思いますが…)力を求めようとしていることが感じられました。

一方で「これは化学や生物で出題すれば…」という気もして、「無理やりでは?」とも思えます。


次に「改革の目的」に関してです。

「従来の「知識・技能」中心の教育にとどまることなく、知識・技能を土台にした「思考力・判断力・表現力」、さらにはそれらに基づいた「主体性・多様性・協働性」を持った人間形成をおこない、グローバル化や技術革新が進展する現代に対応できる人材育成を目指す」

ということのようです。

引用元↓

2020大学入試改革は「骨抜き」にされた 従来のセンター試験にかなり”類似” | プレジデントオンライン

文部科学省は5月16日、センター試験にかわって2020年度から始める「大学入試共通テスト」の実施方針案と問題例を公表した。長年、中学受験…

すなわち、「知識・技能」を土台として、「思考力・判断力・表現力」を身につけさせ、その上に「主体性・多様性・協働性」を身につかせるという目的があり、共通テストに関してもその目的に沿ったものに変更するという意図のようです。


その理想は素晴らしいものですが、一点疑問に思ったことは、

・従来の「知識・技能」中心の教育にとどまることなく

の部分です。

すなわち、従来型の教育が「知識・技能中心にとどまっていた」という前提なり決めつけが存在するということです。

以下の書籍にレビューしている方もおっしゃっていますが、果たしてそうでしょうか。

2020年の大学入試問題 (講談社現代新書) 

自分自身が受験した経験から考えても、難関大学の試験が「知識・技能」といった暗記のみで突破できるとは思えません。

明らかに一定水準の「知識・技能」があることを前提に「思考力・判断力・表現力」を問うている問題のように思えます。

東大・京大だけでなく、各国公立大学の試験や有名私立大学の試験は一定の「思考力・判断力・表現力」を受験生のレベルや獲得したい生徒像、受験者数を想定し、工夫を凝らしながら問うているように思えます。

その意味で『従来型の教育が「知識・技能中心にとどまっていた」という前提』には無理があるように感じます。


次に、「主体性・多様性・協働性」を持った人間形成を行うという最終目的も間違いではないですが、ここまでいくと人としての価値観の問題で有り、それを大学入試で問う必要があるのかという疑問が出てきます。

企業の採用であれば「主体性・多様性・協働性」は時に重要な採用判断基準になるでしょうが、大学は本来学問をしに行くところであるはずです。

「主体性・多様性・協働性」がなくても素晴らしい研究成果を上げる人はたくさんいます。そして、その研究成果が後々の時代に役立つこともあるのが大学の研究ではないでしょうか。

そこに人間性を求めても…というのが個人的感想です。

これは「大学は何のために行くのか」という問題でもあります。昨今は就職のために大学に行く人が大変多くなっているため、それを踏まえての改革かもしれません。

この改革によって大学の位置づけが今後どのようになっていくのか?

教育改革は最初は声高に叫ばれても結局は曖昧なままに終わっていくことが多いだけに、今後の展開が気になります。


最後に、個人的見解としては、巷では「大学入試改革」によって「入試問題が様変わりする」、「「思考力・判断力・表現力」が重視される」といったことが声高に言われていますが、「あまり変わらない」という印象でした。

個別試験における「多面的・総合的評価」の導入も「各大学の必要性に応じて」であり、当初から大きな変更をする大学というのはあまりないのでは?と思います。

また、こういった大学では既に「思考力・判断力・表現力」を試す問題が出題されているため、変える必要性がないというのが本音ではないかとも思います。

紹介したサイトの「2020大学入試改革は「骨抜き」にされた」ではないですが、元々の前提に誤りがありただの理想論に終わるため、現場(大学入試センターや大学)の現実的運用でこれまでに近い形で入試は行われていくのだろうと思いました。

 

株式会社ブックスドリーム

代表取締役 井上聖也

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です